Linernotes


「彷徨う感情に刺激を。色彩も味の深みも進化したPOP ART TOWNの新EP」

 

このEPは様々なサウンドに挑戦しているのがまず特徴的である。彼らは”キラキラ系POPミュージック”という肩書きで語られることが多いが、よりそのサウンドの透明度や照度、色合いに至るまで、繊細に作り上げており、その中で歌詞は喜怒哀楽の要素が色濃く染み込んでいて、あらゆる感情に作用する6曲が揃っている。

あなたも生きていると様々な勇気が必要な場面があるだろう。そのそれぞれの勇気に適宜対応してくれる柔軟かつ素直なサウンドを用意しているEP。グルグルグルグルと脳内会議に陥りがちなあなたにとって刺激となるスパイスを。

 

 

①四畳半の大水槽

 

漂流のロックナンバー。キタノの激流のようなギターが押し寄せてきて、聴いてるこちらも記憶や思考の海に溺れそうになるも、なるおの透明感のあるボーカルがどうしても記憶の中の捨てきれない希望のような感情を刺激してきて、必死に荒波の夜を乗り越える楽曲になっている。

 

 

②朝焼けとエメラルド

 

もがいてもがいて漂着した朝がまた来た。

ファンタジックな希望の輝きに満ち溢れたサウンドと、どこかそんな世界に置いてかれているのではないかという不安さも感じる歌詞が溶け込んでいる。その中で真に輝くものだけを信じて歩んでいく勇気を背負っているナンバー。

 

 

③Q-bizm

 

そんな勇気を嘲笑うかのように不安にさせるイントロから始まる。心の奥底に潜んでいる違う世界線から見た正義が鳴っている。

忘れようとした焦燥感を煽るバンドサウンドは、POP ART TOWNの中でも一番を争う鋭角な楽曲。そのクリティカルな音を生み出す、しゅんさんのドラムに注目だ。

 

 

④JELLYFISH

 

この透明感と弾力感、そして儚げな水中感。「くらげ」すぎる。

エレクトロなミュージックながらも、歌詞とリンクすると、何よりも自然でありのままの輝きを放っている楽曲。深みもありながら浮遊感もある不思議な楽曲だ。

 

 

 

⑤サマータイムマジック

 

今日も始まる変わらぬ平日、夏の暑さ、空の高さ、時の流れ。

変わったのはここまでのPOP ART TOWNの音楽を聴いて、今を(全部ではないけれど)受け入れて、何かを変えれると信じて歩み出している、あなただ。

彼らの持つ軽やかなリズム感と今作でのエモーショナルな感情に合ったサウンドの、どちらの良い部分も入った楽曲。

 

 

⑥Groovy night

 

既に配信されている楽曲だが、このEPの最後として聴くと、より自分の気持ちに素直になった気持ちで聴くことができる。彼らなりの初期衝動を感じる楽曲でもありつつ、あの時僕らを酔わせたアルコールとはひと味もふた味も変わっていることが分かるだろう。彼らもまた勇気を持って歩み続けていることが分かるし、そんな彼らと一緒に退屈な日々にスパイスを入れていこう。